「んー……これかな? わ、埃まみれ」


あの後昼休憩を貰った私は急いでお昼ご飯を済ませて、社務所の屋根裏に来ていた。

巫女頭に教えてもらった、お母さんや禄輪さん達の若かりし頃のアルバムを見るためだ。


屋根裏は色んなもので溢れかえっていて中には埃まみれのものもある。汚れを払いながらそれらしきものを探していると、部屋の隅に分かりやすく「アルバム」と書かれたダンボール箱を見つけた。


お、と思いながら埃を払ってガムテープを剥がす。

背表紙に番号が振られた何の変哲もない写真アルバムが何冊も詰め込まれていた。



それにしても人のアルバムを勝手に見てしまってもいいのだろうか。手を伸ばすことに一瞬躊躇したけれど好奇心には勝てず、小さく手を合わせて「ごめんなさい、失礼します」と挨拶をしてからやはり手を伸ばした。

一、と書かれたアルバムを広げると、神職の装束姿の見知らぬ人達が恐らくほだかの社の社頭に並んでいる写真が一枚目に出てきた。

傍に"1985年 親族"とだけボールペンで書かれている。家族写真のようだ。

1975年ということは今から48年前だ。


となると禄輪さんは……一歳か二歳?


ひゃー、と小さく声を上げて色褪せた白黒写真にぐっと顔を寄せて目を懲らす。

小さな子供は何人もいて、禄輪さんがどの子なのかは残念ながら分からなかった。