一月の最後の週は、力の入らない一週間だった。
来光くんはまだ寝込んでいるので、残ったメンバーで調査を続けたけれど大きな進展もなく、西院高校の学校内で起きた不可解事件の情報ばかりが集まるだけ。鼓舞の明の稽古も相変わらず進んでいない。
福豆の木箱も二回もひっくり返して千江さんに呆れられた。
他のみんなも同じような感じだった。来光くんの事が気がかりなんだろう。
志ようさんの手紙に書かれていたこともずっと胸に引っかかっていた。
神社実習はあと一ヶ月で終わる、終わればすぐに昇階位試験だ。
引き受けた依頼も鼓舞の明も、実習が終わるまでに全て上手くいくんだろうか。
ずっとそんな漠然とした不安が胸の中にあった。
「────慶賀に泰紀! 急いでそこの福豆全部表に運んで! ぶちまけたらシバくで!!」
鬱々とした土日休みが明けて、すぐに節分祭の準備に駆り出された。
鬱々としながら働く暇もないくらい朝からバタバタと走り回っている。今も慶賀くんと泰紀くんが志らくさんに喝を入れられてワーッと走っていった。
「誰か一階にいますか?」
社務所二階から禰宜がそう叫ぶ。はーい、と答えて階段を駆け上がった。