最後まで目を通して息を吐いた。

志らくさんはこれが最後に届いた手紙なのだと言った。記された日付は2010年、空亡戦が激しくなる直前の頃だったはずだ。

お母さんや禄輪さんに頼めるような状況じゃなかったんだろう。

もう一度手紙を上から読み直す。

志ようさんはどうやらこの頃長い間体調を崩していたらしい。病気でもしていたんだろうか? とにかくその体調を崩していた半年間で、十二神使と少しずつ結びを解消して行ったのだろう。

志ようさんに、十二神使との間に何があったんだろうか。


その場に寝転がって手紙を顔の上にかざす。

結局最後まで読んでも何も分からなかった。


「志ようさん……何があったんだろ」


もう一度深いため息を着いたその時、倉庫の白熱灯の光と掲げた手紙が重なった。手紙の文字がぼやけた気がして目を擦りながら体を起こす。

首を傾げながらもう一度見てみるけれど、やはり手紙はさっき読んだ時と変わらず達筆な文字で綴られていた。


不思議に思いながらもう一度手紙を白熱灯にかざしてじっと見つめる。

するとやっぱり文字がぼやけて、と言うよりも一度消した文字が浮かび上がってきた。


「これ……」


ぼやぼやと浮かび上がった別の文字に目を凝らした。