他にも白鳥の首が付いたチュチュや大きなハリセンが置いてあったけれど聞くのが怖くて触れないでおいた。

見る分には面白いのでキョロキョロと辺りを見渡す。

と、その時。


「うわぁ!」


志らくさんの焦ったような声が聞こえてハッと顔を上げたその瞬間、ひっくり返ったダンボール箱が頭の上に落ちてきてすっぽりと頭にハマる。

中に入っていた物が私の足元にバサバサと落ちた。

しばらくの沈黙、そして「ダハハハッ」と自分の太ももをバシバシと叩いて爆笑する志らくさんの声が聞こえた。

両手でダンボール箱を持ち上げて顔を出すと、顔を真っ赤にした志らくさんがお腹を抱えて笑っている。


「ご、ごめん巫寿ちゃんッ……! だってそんな綺麗に入ると思わんくて!」


必死に笑いを堪えながらそう弁解する志らくさんをじと目で見つめる。

別に痛くなかったしいいんだけど、志らくさんが私の上に落としたくせに笑うなんて酷い。


「ほんまごめんて! 怪我ない?」

「ない……です」


唇をむっと尖らせながら伝えれば「なら良かったわ!」と志らくさんが脚立から降りた。

私の足元にしゃがみこんで散らばったそれを拾い始める。私もひとつそれを拾い上げた。


「手紙……ですか?」


表には「志らくへ」と一言だけ書かれていて住所も郵便番号も切手もない。シンプルな白い封筒に入れられた手紙だった。