「いやー、正月に使(つこ)うた神具、誰も片付けよらへんからさ。いよいよ"早う片付けなさい"って禰宜に怒られてもうた。気づいた奴がやれよな」


脚立に乗った志らくさんが「ほい」と手を差し出す。

下からダンボール箱に入った神具や使い道の分からない道具をバケツリレーのごとく差し出しては脚立を支える。

少し埃っぽい部屋の中を見渡した。社宅の屋根裏は社務所の物置に入らない荷物を保管する場所になっているらしい。

うさぎの着ぐるみの頭が無造作に置いてあって、一体何に使うんだ?と首を傾げた。


「そうだったんですね。確かにこの量じゃ片付ける気にならないかもです」


次三方頂戴、と言われて言われた通り三方を差し出す。


「みんな無言の押し付け合いや。いよいよ私が負けてしもた」


ため息をついた志らくさんにくすくすと笑った。

脚立を支えながら改めて屋根裏部屋を見回した。

余り整頓はされていないらしく、天井までつく高さの大きなラックに所狭しと色んなものが詰め込まれている。

よく見れば私物も多いようでスノーボードの板やボクシンググローブなんかがある。私の視線に気がついたのか「それ権宮司のやで」と志らくさんが何食わぬ顔で言った。

権宮司の!?と素っ頓狂な声を上げる。

あの怖そうな雰囲気から笑い上戸ということだけでも衝撃的なのに、スノボにボクシングまで……。


何だかもう何も言えない。