その質問に対して佳祐くんが激しく動揺したのが目の動きでよく分かった。忙しなくあちこちに視線を泳がせたあと、布団を強く握りしめる。何かを隠しているのだと分かった。
わかりやすい態度に嘉正くんが呆れたように息を吐いた。
「人様には言えないような悪い事をしていたのはよく分かったよ」
「お前ほんと呆れた奴だなぁ」
はぁ、と息を吐いた慶賀くんに顔を赤くして捲し立てる。
「違ッ……俺は別に見てただけで、正信をいじめてたんはあいつらで────」
口を滑らしたと気付いたのか「あ」と目を見開いて慌てて口を閉じた。
みんなが纏う空気が鋭くなった。呆れは軽蔑に変わる。
「状況はだいたい分かった」
嘉正くんが代表して話に区切りをつけた。
俯いていた佳祐くんが縋るように顔を上げる。
「なぁ。俺の事突き落としたやつ、見つけ出してや」
そんな言葉にかける言葉もない。なんて身勝手なんだろう、と怒りを覚える。
加担していないとはいえ同級生がいじめられている現場に居たのに何もしなかった。挙句友達まで仲間はずれにして、自分がそうなった時には「助けて欲しい」だなんて。
「お前、まじで最低だな」
嫌なものでも見たような顔で慶賀くんがそう吐き捨てる。咎める人は誰もいなかった。
声には出さなかったけれどみんな同じように思っていたんだろう。