佳祐くんから聞いた話は、西院高校の前で女子高生から聞いた話とほとんど同じだった。
遊んでいたところ男子生徒のひとりが"誰かに背を押されて"ガラスの窓に突っ込み、身体中に破片が突き刺さる全治二ヶ月の大怪我を負った。
まるで今の佳祐くんと同じ状況だ。
「あの時……アイツが怪我したのを俺らのせいにした事にムカついて、アイツのこと無視したりしたんやけど……今俺も同じ状況になって、酷いことしてたんやって反省してる」
「何、お前いま友達からハブられてんの?」
遠慮のない慶賀くんの物言いに泰紀くんが「バカ!」と脳天をはたく。
佳祐くんは少しむっとした表情で眉間に皺を寄せると、「そうだよ!」と私達を睨む。声に元気はなかった。
「それはそうと、そのオトモダチからも話は聞いた方が良さそうじゃね? その場にいた貴重な証人だろ」
「確かに泰紀の言う通りだね。佳祐くん、その場にいた人達の名前全員教えて貰っていい?」
佳祐くんの表情が曇る。
元は友達とはいえ、今は自分の事を仲間はずれにしているんだ。名前を呼ぶ事すら嫌なんだろう。
しぶしぶと重そうに口を開いた佳祐くんは四人分の名前を挙げた。最後の一人には「こいつがガラスで怪我したやつ」と付け加える。
すかさず嘉正くんはメモ帳に名前をしたためた。
「これで全員? ちなみになんだけどさ、この時君たち何してたの?」