顔を私たちに向けた。視線を泳がせたあと布団の上に力なく落とす。何か言いたげで言いにくそうに口を開けては閉じてを繰り返す。


「でもほんまに……大人に話した事が全てや。あの日屋上におったら、いきなり背中を後ろから押された。誓って俺は自分から飛び降りてへん」

「その時近くに誰かいた?」

「同じクラスのサッカー部の奴らが三人……でもアイツらは俺の事押してないって。ケーサツは風に煽られて落ちた事にしたみたいやけど……でも間違いなく背中に触れたのは人の手みたいな感覚やった! 信じてくれ! 俺は飛び降りてへん!」


佳祐くんは必死な顔で身を乗り出すと、そばにいた泰紀くんに掴みかかった。落ち着けって、と背中を叩かれてベッドに戻される。

でも"人の手みたいな感覚"というのは新しい情報だ。もっと詳しく調べてみればその情報から絞りこめる事があるかもしれない。


「なぁなぁ。そういやサッカー部の部員って半年前にもガラスに突っ込む事故があったよな? それはお前の友達?」


慶賀くんがそう尋ねる。


「いや……それは俺らや」

「は? なにそれもお前なの!?」


目を瞬かせた私たちに気まずそうにひとつ頷く。