彼女達の背中を手を振って見送った嘉正くんは振り返って息を吐いた。
「かなり情報集まって来たね。一旦どっかで整理する?」
「だな。お疲れ嘉正。よくやったよ恵衣も!」
ガハハ、と笑って恵衣くんの肩に手を回した泰紀くん。
恵衣くんは目にも止まらぬ速さでその手を捻りあげると、泰紀くんを地面にねじ伏せた。いででで、と悲鳴をあげた泰紀くんを無表情で見下ろす。
「お前ら、帰ったら覚えてろよ」
地の底を這うような声だった。
まぁそうなるよね、と苦笑いをうかべる。呪が強い言葉が含まれていなかったのが不幸中の幸いだ。
「まぁまぁそう怒らないでよ恵衣。結果情報は思ったよりも早く集まったわけだし」
どうどう、と馬を宥めるように手を振った嘉正くんは聞き込みの際に書いていたメモをぱらぱらとめくった。
「でも結局内輪の話ばっかりだったね。もうちょっと色んな情報が集まるかと思ったんだけど。来光と巫寿はどう思う?」
私もスマホに記録していたメモを見返して「そうだなぁ……」と呟く。
聞いた話は全て学校内で起きたことか学校関係者や生徒が被害にあった話ばかりだった。
学校外でなにか異変は起きていないのかまだハッキリしていない状態で捜索範囲を学校内絞るのは良くないかもしれない。
でもこれってもしかして────。