「ねぇねぇ、ちょっといい〜?」


西院高校の正門前まで来た私達は聞き込み調査を開始した。

来光くんはいつも通りの顔に戻っているけれど、やはり少し心配だ。


早速慶賀くんが女子高生二人に声をかけた。

その後ろに立つ嘉正くんと恵衣くんの顔を見るなり「わっ、イケメン!」とお互いの腕を小突き合う。

「俺は!?」と目をかっぴらいて身を乗り出した慶賀くんを片手で押さえ込んだ泰紀くんが後ろに引っこめる。

少し引き気味な女の子達に嘉正くんが「騒がしくてごめんね」と万人受けする笑顔で声をかける。


「この学校でちょっと変わった事が起きてるよね? その事について教えて欲しいんだけど」


二人は顔を見合せたヒソヒソと耳打ちして、一層不審がる顔で私たちを見回す。

流石の嘉正くんでもやっぱり厳しいんじゃ────。


「実は妹が三月に西院高校を受験する予定だから、母親が不安がって話聞いて来いって言われちゃって」


まるで用意されていた台本を読見上げるかのようにスラスラと嘘を並べる。さらに花でも背負っていそうなほど爽やかな笑みを浮かべた。