クソォと地団駄を踏む慶賀くんを宥めつつ歩いていると、見覚えのある制服を着た高校生たちが向かいから何人も歩いてくる。
どこで見かけたんだろう。さっきのバスの中で見かけたからそう思うだけなのかな。
しかし来光くんの「あ……」という小さな呟きでそうじゃないことを思い出す。
隣を歩いていた来光くんの顔が少し強張っていた。その視線の先には見覚えのある制服を着た高校生たちがバス停へ向かっているのか談笑しながら歩いてくる。
その制服に見覚えがあったのは、嫌な思い出として記憶に残っていたからだ。
「来光くん……」
「あ、ごめん。何? どうかした?」
「あの、嫌なこと聞いてごめん。西院高校ってもしかして」
「あー……それね。僕もバス乗ってるあたりから何となく気付いてた。そうらしいね」
やっぱりそうなんだ。
以前道端で会った感じの悪い高校生の集団。
来光くんのことを嫌なあだ名で呼んでいた男の子たちが着ていた制服と同じ、つまり彼らの通う高校が西院高校だったんだ。