「……とにかく喋ってないならいい」


そう言って目を逸らした恵衣くん。

その横顔はさっきと比べて幾分かリラックスしているように見えた。

もしかして話し合いの最中に様子がおかしかったのは、皆に苦手な事がバレていると思ったから……?


だとしたら、


「────ふふ」

「何笑ってんだよ」

「何でもない」

「なら黙れ。……変なやつ」


やがてバスは最寄りの停留所へ着く。人混みをかき分けて何とかバスを降りた。