次の日。
早朝の志らくさんとの特訓を終えて朝のお勤めもこなし、恵衣くんも回復したということで西院高校の怪異事件についての調査がいよいよ始動することになった。
昼休みの後、社務所の会議室に集まった私たちはまずホワイトボードに現地調査でわかった結果を書いていく。
何らかの呪いが原因というところまでは前回の調査でつきとめているので、次に私たちがするべきことはその呪いが何なのか、呪者は誰なのかを突き止めなければならない。
「被呪者って学校関係者だけ?」
テーブルの上に広げた書類を見比べながら、泰紀が顎に手を当ててそう呟く。
「校長から聞いただけだから、報告に上がってるのは今のところ先生と生徒だけみたい」
「学校外にも被呪者がいた場合、調べるのかなりキツくなるんじゃね?」
「だね。とりあえず、範囲がウチかソトかだけでも絞りたいね」
皆の会話に心の中で「なるほど」と息を吐く。
私はてっきり学校内で起きた事件かと思っていたのだけれど、確かに皆の言う通りだ。
今回依頼人が校長先生だったから、被害の詳細は学校内での出来事に絞られている。
けれど呪いの種類によってはもっと広い範囲で人を呪うことだって出来る。呪いや妖の存在が今よりももっと当たり前だった平安の時代は、村全体を呪う呪術だってあった。