『骨の髄まで食ってやろうかァァ!?』
突如として会議室飛び込んできた"鬼"に、私たちはお約束のように大絶叫した。
でもそれは仕方がない。
妖に慣れてきたとはいえ鬼イコール怖いというイメージはまだ払拭できていないし、そもそも真昼間の会議室に鬼が飛び込んでくるなんて誰が想像出来ただろうか。
そして次の瞬間、私たちのように大絶叫はしなかったもののそれなりに驚いていたらしい恵衣くんが、驚いた勢いでバランスを崩したのか体が後ろに傾いた。
さらに運悪く倒れた恵衣くんの後頭部の先に、ちょうど折り畳みの長机の角が来た。ガシャンッ────と激しい音が響いて、恵衣くんが床に倒れ込む。
今度は鬼が「うおお!?」と焦った声を上げる。
『え、恵衣!?』
嘉正くんがいち早く駆け寄った。
青い顔をした恵衣くん、もう意識はない。
『す、すまん大丈夫か!?』
相変わらず顔は怖いけれど明らかに動揺した鬼が駆け寄ってきて恵衣くんを抱き起こす。
ぺしぺしと頬を叩いたけれど反応はなかった。
『おい吉祥! 吉祥ーッ! ガキが気絶した!』
その声を聞き付けた吉祥宮司がバタバタと階下から駆け上がってきて、やがて恵衣くんは宿舎へ運ばれて行ったのだ。