自分たちが知っている妖は基本的に百歳を超えている。
漢方薬学の豊楽先生は雪童子と呼ばれる妖で、体は雪で出来ている。大体50年くらい生きてから水に還ってまた赤ん坊から生まれてくるのが雪童子と呼ばれる妖の生態で、豊楽先生は今の人生の前に五回生まれ直しているらしい。トータルすると二百年近く生きていることになる。
身近にいる妖は私達からすればかなり年配者になる訳で、こうして同い年の妖と出会うのは滅多にない。
皆もそれが珍しいのかこぞっていろいろ質問を投げかけている。
「どこ高なの? この辺?」
「神修、鞍馬の」
「ああ。修霊の方か」
話題についていけずに曖昧に笑っていると、それに気が付いたのか鬼市くんが話題を止めた。
「巫寿はもしかして編入生か」
「あ、うん。そうなの、高校からで」
「それじゃ知らないか。神役修霊高等学校、京都の鞍馬にある妖が神職になるための学校。そっちの神修と略し方同じだから、鞍馬の神修とか京都の神修とかって呼んでる」
妖のための高校もあるんだ、と目を丸くする。
よくよく考えてみれば、神修で働いている神職の先生には妖もいる。神職になるためには階位の取得が必須だし、取得するためには勉強もしなければならない。
私たちと同じように学ぶ場所があるのもおかしくない。