「────まぁ、そんな訳で去年までとは何ら変わりないんですわ。いつも通りやって貰ったらよろしいかと」


打ち合わせは三十分も経たないうちに、宮司のその一言で終わった。



「おう、任せとき! 今年も地獄絵図見せたるし!」


ガッハッハッ、鬼三郎さんが豪快に笑う。



「ほんならこっからは大人だけの打ち合わせやし、子供らは恵衣の様子でもみてきたり」



宮司にそう言われて私たちは顔を見合せた。

大人だけの打ち合わせ? 学生の私たちが聞いてはいけないような大切な打ち合わせなんだろうか。



「行こうぜ。"オトナノウチアワセ"が終わるまで、暇だし付き合ってくれよ」



そう言って立ち上がった鬼三郎さんの隣に座っていた男の子。

ぞろぞろ立ち上がって会議室を出る。

ちらりと振り返ったその時、鬼三郎さんと吉祥宮司の手に酒瓶が握られているのが見えたのは気のせいだろうか。