「────ガッハッハッ。すまんすまん、毎年まず一番に神修の学生を驚かせるのが恒例行事なんや」
ガハガハと笑うその人は、大きな手でカップの繊細な取っ手を摘んで珈琲を煽る。
美味い!と会議室中に響き渡る声で感想を述べるとまたガハガハと笑った。
まだ少しバクバクしている胸を白衣の上から押さえつけてその人を見る。
座っているのにたっているように見える大きな体で、皮膚は白でも黒でもない燃えるような赤。後ろに撫で付けるように伸ばされた方そうな黒髪から覗くのは四本の角。
ぎょろりとした大きな目は黄色味が買った眼球で、笑う度にちらちら見える歯は鋭く長く歯と言うよりも牙に近い。
「皆、こちら八瀬童子一族の鬼三郎さんや」
「よろしくなガキンチョ!」
宮司に紹介され、鬼三郎さんは愉快そうにまた笑った。
「お頭、そろそろ人の姿に合わせてやれよ」
呆れた声でそう言ったのは、その隣に座っていた少年だ。
私たちと同じくらいの歳だろう。背が高くて短髪の黒髪、凛々しい眉に切れ長の目が印象的な少しクールな雰囲気の男の子だ。