「そろそろお客さん来はるから、社務所の会議室にお茶の用意してもろてええ? そのまま会議参加し」


二時間くらいして時計を見あげた千江さんがそう言った。

はーい、と返事をして立ち上がると「あ」と千江さんは何かを思い出したかのように声を上げる。

首を傾げて振り返った。



「戸棚に入ってる茶請けが団子かクッキーしかないんやけど、団子出さんといて」


これから来るお客さんは団子が嫌いなんだろうか。

深く考えずに「分かりました」と答えた。


社頭の掃き掃除をしていた泰紀くんと慶賀くん、社務所で書類仕事を手伝っていた来光くんと恵衣くんにも声をかけた。

皆で社務所の二階にある会議室に長机を並べてお茶の用意を整える。



「僕らも打ち合わせに出ていいって?」

「うん。千江さんが事前にどんな流れなのか把握しとけって」

「なぁこのクッキーちょっと食っていい?」


わいわいと喋りながら用意を整えていると、社務所一階の方で「ああ、お久しぶりです。よう来てくれはりました」と宮司が誰かに挨拶する声が聞こえた。