「皆さんの調査のおかげで対象は絞り込めましたね。となると次にすべきことはなんでしょうか? 来光さん」
「使用された呪いの種類を調べ、呪いを放った呪者を探す……?」
「その通りです。では明日からはチーム分けはせずこの六人で、この案件の解決に向けて必要な調査を行ってください」
今度は恵衣くんが目を剥いた「なんで俺がッ……」と何か言いかけて、堪えるように目を閉じて息を吐いた。
間違いなく「なんで俺がこいつらなんかと」と言おうとしていた。
「……分かり、ました」
心底不本意そうに顔を歪めてそう言った恵衣くん。
顔にも言葉にも態度にも「本当は嫌だ」という気持ちが分かりやすく漏れている。
「では今日は解散しましょうか。開けた教室の鍵を閉めて来てください。私は校長先生にご挨拶してきますので」
私たちが「はーい」と返事したのを確認して、禰宜は校長室へ向かう。
その背中が見えなくなったタイミングで、恵衣くんがそれはそれは深いため息を吐いて私たちを睨んだ。
「絶対に俺の邪魔だけはするなよ。とくに眼鏡」
そうとだけ言うとふいと顔を背けて大股で廊下を歩いていく。
「……な、な」
顔を真っ赤にした来光くんがわなわなと震え出す。
「何なのアイツ!?」
来光くんの声が長い廊下に響いた。