声は上げなかったものの、私もみんなも思ったことは慶賀くんと全く同じだった。
先ほど会った校長先生は頬がこけて陰鬱な雰囲気を纏った大人しそうな人だった。写真の中のその人とは180度雰囲気が違う。
どんなことが起きたらたった数ヶ月で顔や雰囲気、それに体格もここまで変わってしまうんだろう。
「ついでに校長室で厄除けの札を見つけました。詳しく聞いてみるとここ最近仕事中によく体調が悪くなるそうで、かかりつけ医の診察を受けても原因はよく分からなかったそうです。けれど知人のすすめで地元の神社でお祓いを受け、御札を授与されて校長室に飾ったところそれはぴたりとおさまった。体調不良や形相が変わり表情が乏しくなること、性格の変化その他諸々…被呪者の特徴に合致します。最初は校長を標的にした呪いかと思いましたが、校長曰く同様の変化は一部の職員にも起こっているそうです。つまりこれは────この学校内にいる人物を対象とした呪い」
「その通りです。完璧ですね、百点です」
これくらい当然だとでも言いたげな顔をする。
その顔にカチンときたのか慶賀くんが突っかかった。
「俺らだって鍵が空いてたらちゃんと確認したし!」
「俺が見て回った場所は全て鍵は開けたままにした。開いていないと思って確認を怠ったのはお前らの落ち度だろ」
「はぁ!? そもそもお前がもうちょっと協調性を見せてたら────」
「はいはい、喧嘩は後で好きなだけしてもらって構いませんので、とにかく次に進みましょう」
呆れた顔で手を打った禰宜が唸る慶賀くんを下がらせる。