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「ねえ、橋田くん」
音楽の授業が終わり、ぞろぞろと音楽室をでていく中1人の女子生徒が橋田に声をかけた。
「なに?」
「さっきの話なんだけど」
「さっき?」
「ほら、練習方法の話」
授業が始まる前に話していたことだった。その女子生徒は盛り上がっている女子生徒たちの一味ではなく、ただその話を端で聞いてた1人である。
「きけばきくほど、1音1音が際立って聴こえてくるって、それってさどんな曲でもそうなのかな」
「うん、そうだと思うよ。好きとか嫌いとかそういう概念じゃなくて、ただその音楽を極めたいって思うことが大事なんじゃないかな。なんでそんなこときくの?」
「友達がさ、覚えられなくてみんなの足ひっぱってんの」
「あー、なるほどね」
橋田は、思いついたように不敵に笑った。
「いい方法があるよ」