きらり、と宝石を通して伝わる光に、藍はため息をもらした。
「修羅場確定すぎる・・・・・・」
午前中の琥珀との会話一部始終を朱音に話したら、なんとか奢りは免れた。が、その代わりたっぷり修羅場になったときの心構え、ヒロインとしての振る舞いなどを叩き込まれた。
なんでお前はそんなことを知っているんだと怒鳴りたくなったが、他にもたくさん迷惑助言をしてくれる子が集まってきたのでやめておいた。一人一人に怒鳴っていたら体が保たない。まあ、大方ドラマや少女漫画の知識だろうと見当はつくが。当てにならなすぎる。
その場合絶対主人公は琥珀ちゃんだろ・・・・・・私はつまりライバル役ね、と自虐を交えてため息をついたりする。
スマホが震え、同時に通知音が鳴る。丁寧な手つきで指輪を引き出しに戻し、スマホを持ち上げた。
『相生さん、桃真です』
LINEだ。クラスのグループから友達追加したんだろう。アイコンはデフォルトで、名前は桃真だ。彼だとわかっても余るくらいわかる。
『知ってます』
『琥珀に話したんですか?』
『ごめん、言っちゃった。まずかったかな?』
やっぱりダメだったのかな。修羅場ありえる?
『まずくはないんですが、面倒なことにはなります』
ネット界でのがちがちの敬語が、現実とのギャップを際立たせる。思わず吹き出してしまう。
『敬語なんだね。面倒なことって? 聞かないほうがいいかな』
この言い方だと若干圧を感じるだろうか、と少し考えたが、できることなら話してほしいのでそのまま送信する。
『すみません。鋭意努力します。決して後ろ暗くはないんです』
『不審者が決して怪しくないって言ってる感じ?』
ついからかいたくなって聞き返す。敬語可愛い・・・・・・と笑い混じりに思いつつ。我ながら、母性爆発してるなぁ。
しばらくして、なかなかの長文が帰ってきた。
『すみません。本当にごめんなさい。俺と琥珀はそういう関係じゃないです。本気です。誤解させてすみません。ごめんなさい』
『わかったから、謝らないで。悪いことしてる気分になる』
『ごめんなさい』『あ』
二つ、連続してメッセージが来た。あわあわと焦る桃真が思い浮かんで、くすりと笑みを浮かべる。ネット、慣れてないんだろうなぁ。対して藍は、フリック入力の達人なのだった。
『いいよ。琥珀ちゃん、幼馴染なの?』
『そんな感じです』
『そういえばさ、君は私のこと好きなんだよね?』
ちょっと話を変えてみる。直球すぎるかな。
『はい』
少し間を置いて、返信。この間は恥じらいか、はたまたまずい! という狼狽か。
『どこが好きなの?』
『疑ってますか』
『疑ってるわけじゃない』
これは、若干嘘も混ざっている。
それに、一度も話したことがないのに好きだとか、正直わからなかったから。
『かっこいいなって。先生に言い返した相生さん』
『あ〜』
乾いた笑いが出そうになった。あ〜としか言いようがない。
先生に対する八つ当たりだったから、そこを誉められても反応に困る。
そこからは返信が途切れた。今日のやりとりとスクショして朱音に送ったら、黒確と返ってきた。
***
「修羅場確定すぎる・・・・・・」
午前中の琥珀との会話一部始終を朱音に話したら、なんとか奢りは免れた。が、その代わりたっぷり修羅場になったときの心構え、ヒロインとしての振る舞いなどを叩き込まれた。
なんでお前はそんなことを知っているんだと怒鳴りたくなったが、他にもたくさん迷惑助言をしてくれる子が集まってきたのでやめておいた。一人一人に怒鳴っていたら体が保たない。まあ、大方ドラマや少女漫画の知識だろうと見当はつくが。当てにならなすぎる。
その場合絶対主人公は琥珀ちゃんだろ・・・・・・私はつまりライバル役ね、と自虐を交えてため息をついたりする。
スマホが震え、同時に通知音が鳴る。丁寧な手つきで指輪を引き出しに戻し、スマホを持ち上げた。
『相生さん、桃真です』
LINEだ。クラスのグループから友達追加したんだろう。アイコンはデフォルトで、名前は桃真だ。彼だとわかっても余るくらいわかる。
『知ってます』
『琥珀に話したんですか?』
『ごめん、言っちゃった。まずかったかな?』
やっぱりダメだったのかな。修羅場ありえる?
『まずくはないんですが、面倒なことにはなります』
ネット界でのがちがちの敬語が、現実とのギャップを際立たせる。思わず吹き出してしまう。
『敬語なんだね。面倒なことって? 聞かないほうがいいかな』
この言い方だと若干圧を感じるだろうか、と少し考えたが、できることなら話してほしいのでそのまま送信する。
『すみません。鋭意努力します。決して後ろ暗くはないんです』
『不審者が決して怪しくないって言ってる感じ?』
ついからかいたくなって聞き返す。敬語可愛い・・・・・・と笑い混じりに思いつつ。我ながら、母性爆発してるなぁ。
しばらくして、なかなかの長文が帰ってきた。
『すみません。本当にごめんなさい。俺と琥珀はそういう関係じゃないです。本気です。誤解させてすみません。ごめんなさい』
『わかったから、謝らないで。悪いことしてる気分になる』
『ごめんなさい』『あ』
二つ、連続してメッセージが来た。あわあわと焦る桃真が思い浮かんで、くすりと笑みを浮かべる。ネット、慣れてないんだろうなぁ。対して藍は、フリック入力の達人なのだった。
『いいよ。琥珀ちゃん、幼馴染なの?』
『そんな感じです』
『そういえばさ、君は私のこと好きなんだよね?』
ちょっと話を変えてみる。直球すぎるかな。
『はい』
少し間を置いて、返信。この間は恥じらいか、はたまたまずい! という狼狽か。
『どこが好きなの?』
『疑ってますか』
『疑ってるわけじゃない』
これは、若干嘘も混ざっている。
それに、一度も話したことがないのに好きだとか、正直わからなかったから。
『かっこいいなって。先生に言い返した相生さん』
『あ〜』
乾いた笑いが出そうになった。あ〜としか言いようがない。
先生に対する八つ当たりだったから、そこを誉められても反応に困る。
そこからは返信が途切れた。今日のやりとりとスクショして朱音に送ったら、黒確と返ってきた。
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