「まぁ、それはいいとして。ボディーガードのお二方は一卵性双生児だよね? そっくりで見分けがつかないけど、あんたにはわかるの?」

「はい、右京の右目下にはホクロがあります」


「えっ……、よく見えないけど」

「颯斗さんは視力が悪いんでしたね。目を凝らしてよく見て下さい」


「あのさぁ。あんたはメガネがあるから見えるかもしれないけど、俺は裸眼だし」

「コレですか? 度が入ってません。ただの伊達メガネです」


「へ? どうして伊達メガネを」

「事情がありまして……」


「あんたは大金をポンと出したり素性を隠したり。謎が多い上に変わった人なんだな…」



呆れ眼でそう言った瞬間、右京が左内ポケットに手を入れて睨みながらすくっと立ち上がった。

颯斗は昨日と同様、銃で打たれるかと思い顔面蒼白に……。



左京「右京、待て! 落ち着け。先日旦那様に無闇に出すなとお叱りを受けた事を忘れたのか」

右京「ググっ……」



颯斗が顔面蒼白で震えていると、左京がサッと隣に移動して耳打ちする。



『右京はお嬢様に好意を持っています。しかし、我々にとってお嬢様との恋は決して叶う事のない夢。どうか右京を興奮させたり刺激させないようにお願いします』



彼は早口で言いたい事だけを言って無表情のまま定位置に戻った。
俺はどうやら厄介な人達に関わってしまったらしい。




でも、彼女は訳ありっぽいし、帰る家もなさそうだし、借りた家賃代だってすぐに返せない。

それに、俺が好きだと……。