灯輝さんが集中して描いている時間は、どんどんと流れていくようで、私はその灯輝さんを追うのに必死だ。
けれどそれが、冒険しているようで楽しくもあった。
段々と、空がほのかにオレンジに染まってくる。私は辺りを見回した。
すると、見覚えのある顔の人が、遊具で遊ぶ子供を見つめていた
カナだった。
「ほら、もう帰らなきゃ。悠平。行こうよ」
「もうちょっとあそぶ、美紗ちゃんもあそぼう?」
「だめ、あたしも忙しいの。ご飯遅くなってテレビ見られなくなるのイヤでしょ?」
「みさちゃんおねがい、ぼくやだ!もうちょっとなの!」
苦しくなるような感覚から、手を強く握る。
あの男の子、誰?あんなカナ、見たことない。急になんで、いつもと全然違うじゃん。
「…仄花ちゃん、どうかした?」
灯輝さんの声で、少し恐怖が和らぐ。でも、声はふるえる。
「ー…っ、カナが、いるんです、なんで、わからない、なんでいるの」
「仄花ちゃん、一回落ち着いて。まだ喋ったわけでもない、人違いかもしれないよ」
私は首を横に振る。絶対にそうだ。大きく開いた、ぱっちりとした目。高い鼻に、小さな口。茶色く肩まで伸びている、ほんの少し巻いてある髪。そして、そこに映える白い肌。
見つめていると、ぱちっと目が合ってしまった。最悪だ。
向こうも気にせずにはいられなかったようで、こちらに駆け寄ってきた。あの男の子と共に。
はぁっ、はぁっ、と、少し息を切らしながら、カナは私と向かい合った。
最初に口を開いたのは、カナだった。
「…八木ちゃん、どうしたの?こんなところで」
「え、えっと、少し休憩に、というか…。か、金沢さんは?その男の子…」
あぁ、こいつね、と言って、カナはしゃがんで男の子を私の前に立たせる。
「あたしの弟。金沢悠平。四歳だよ。遊びに来てたの」
まさかカナに、こんなに小さい弟がいたとは思っていなかった。
悠平くんは、にっこりと笑って、はじめましてと言った。かなりしっかりした子で驚いた。春花がこの頃は、きっと恥ずかしくて挨拶なんてできていなかったと思う。
「八木ちゃんこそ、その後ろの人、彼氏さんかな?はじめまして。金沢美紗です。悠平の方もだけど、うちの親ちょっと名前古いんですよぉー。だから、カナって呼んでください」
「いや、彼氏なんてそんなのじゃないよ。私たちはただ…」
え、この関係って、どんな名前?
友達ってわけでもなく、恋人ってわけでもなく、これってなんて言うの?
必死で言葉を探す。なかな出て来ず、苦戦する。
「俺たちはぁ、ただ毎日放課後に公園で話すだけの関係ですよー」
灯輝さんが、少し可愛い声で言ってくれた。ナイスです、灯輝さん。
けれどそれが、冒険しているようで楽しくもあった。
段々と、空がほのかにオレンジに染まってくる。私は辺りを見回した。
すると、見覚えのある顔の人が、遊具で遊ぶ子供を見つめていた
カナだった。
「ほら、もう帰らなきゃ。悠平。行こうよ」
「もうちょっとあそぶ、美紗ちゃんもあそぼう?」
「だめ、あたしも忙しいの。ご飯遅くなってテレビ見られなくなるのイヤでしょ?」
「みさちゃんおねがい、ぼくやだ!もうちょっとなの!」
苦しくなるような感覚から、手を強く握る。
あの男の子、誰?あんなカナ、見たことない。急になんで、いつもと全然違うじゃん。
「…仄花ちゃん、どうかした?」
灯輝さんの声で、少し恐怖が和らぐ。でも、声はふるえる。
「ー…っ、カナが、いるんです、なんで、わからない、なんでいるの」
「仄花ちゃん、一回落ち着いて。まだ喋ったわけでもない、人違いかもしれないよ」
私は首を横に振る。絶対にそうだ。大きく開いた、ぱっちりとした目。高い鼻に、小さな口。茶色く肩まで伸びている、ほんの少し巻いてある髪。そして、そこに映える白い肌。
見つめていると、ぱちっと目が合ってしまった。最悪だ。
向こうも気にせずにはいられなかったようで、こちらに駆け寄ってきた。あの男の子と共に。
はぁっ、はぁっ、と、少し息を切らしながら、カナは私と向かい合った。
最初に口を開いたのは、カナだった。
「…八木ちゃん、どうしたの?こんなところで」
「え、えっと、少し休憩に、というか…。か、金沢さんは?その男の子…」
あぁ、こいつね、と言って、カナはしゃがんで男の子を私の前に立たせる。
「あたしの弟。金沢悠平。四歳だよ。遊びに来てたの」
まさかカナに、こんなに小さい弟がいたとは思っていなかった。
悠平くんは、にっこりと笑って、はじめましてと言った。かなりしっかりした子で驚いた。春花がこの頃は、きっと恥ずかしくて挨拶なんてできていなかったと思う。
「八木ちゃんこそ、その後ろの人、彼氏さんかな?はじめまして。金沢美紗です。悠平の方もだけど、うちの親ちょっと名前古いんですよぉー。だから、カナって呼んでください」
「いや、彼氏なんてそんなのじゃないよ。私たちはただ…」
え、この関係って、どんな名前?
友達ってわけでもなく、恋人ってわけでもなく、これってなんて言うの?
必死で言葉を探す。なかな出て来ず、苦戦する。
「俺たちはぁ、ただ毎日放課後に公園で話すだけの関係ですよー」
灯輝さんが、少し可愛い声で言ってくれた。ナイスです、灯輝さん。