『好きっていう気持ちは、どこへいってしまうの? 死んじゃったら、それで終わりなの……?』

 偶然、触れた手から流れ込んできた、君の心の叫び。

『どうして?』
『忘れたくない』
『助けて……』

 悲しそうに、苦しそうに、必死でもがいている君の心が泣いているのを聞いた。

 誰にも言えず、安らげるはずの家で息を殺して、答えの出ない疑問に身動きが取れなくなっている。

 だから、そっとその手を包んで引き寄せた。

 物心ついた頃から、自分から人に触れることはなかった。実の両親でさえ、奇異なものを見る目で俺を見ていたから。

 自分が人と違う力があると気付いたのは、いくつの頃だっただろう。

 無遠慮に入り込んでくる他人の本音は、口にしている建前とはまったく違っていて、もう一生、誰にも触れられないのだと思っていた。

 当然、恋愛なんてもっての外。

 ずっと他人と一線を引いて、周囲の声を意図的に遮断するように生きてきた。

 でも君は違う。初めて、自分から触れたいと思った。

 心から俺を心配して、傷が癒えるのを願ってくれた君は、俺をこの世界に引き止めてくれた君だけは、俺が自分の手で守ってあげたいと思ったんだ。