カーテン越しの君




ーーそれは、寒さの厳しさを増す2月上旬を迎えた、ある日。
今日はニュースで頻繁に警報が表示されるくらいの大雪が降っている。


外は銀世界。
降り積もる雪で足を取られつつも何とか学校に到着。
でも、今朝から少し熱っぽく風邪気味で、授業に身が入らないほど体調不良になった。
無理をするのはやめて二時間目に入る直前に保健室に向かう。


コンコン……
ガラガラガラ



「失礼しまーす」



扉を開けて保健室を覗くと、一番に飛び込んだ光景は奥側のベッドの閉ざされたカーテンと、床に置かれた★のマークの上履きだった。



「先生……」



目を見開いて養護教諭に目を向けると、養護教諭は無言でコクンと頷く。
症状を聞かれた後、手渡された手元の記録表には、以前と同様名前欄のみに★マークが書かれていた。



セイくんが今この保健室にいる。



最近全く会えなかった彼がそこにいるという実感が湧いた瞬間、感極まって瞳にジワリと涙を滲ませた。