「指大丈夫? ひな。」
「うん、もう平気。すぐ冷やしたからかな……。」
「そっか、ならよかった。」
ふ、と笑った茜くんが、いただきます、と手を合わせるのを見て、私も慌てて手を合わせた。
……夕ご飯のメニューは、じゃがいもとワカメのおみそ汁、ハンバーグ、付け合わせの野菜炒め。
ハンバーグと、しかもデミグラスソースまで、ほとんど茜くんが作ってくれた。ハンバーグの形はきちんと楕円形で、デミグラスソースも心なしかつやつやしてる。
「おいしい……!」
「ほんと? よかった。」
ハンバーグを一切れ口に入れると、じゅわっとしみ出る肉汁。
目を輝かせると、茜くんが嬉しそうに笑う。……いや、本当においしい。男の子なのに、というのは今の時代にそぐわない感想かもしれないが、茜くんが料理上手なのは間違いない。
「ひなの味噌汁と、付け合あわせの野菜炒めもおいしいよ。オレ、味噌汁にじゃがいも入れたことないから新鮮かも。」
「そうなの? へえ、おみそ汁にも家の個性が出るんだね……。」
まじまじと自分が作ったおみそ汁を覗き込んでいると、茜くんがふっと笑った気配がした。
顔を上げると、優しい目で私を見る茜くんと目が合う。
「……やっと笑った、ひな。」
「えっ。」
「まあ当然だけど、ずっと元気なかったからさ。……ひなは笑ってた方がかわいいよ。」
――かわいい。
また、正面切って言われたその言葉に、頬がすごい勢いで熱くなる。
恥ずかしくて、バッ! と慌てて下を向いた。
「そ、んなこと……。私、地味でトロいし、さっきだって火傷しそうになって迷惑かけたし……、」
「あは、まーたしかにちょっとトロいかもしんないけど。」
「うっ、」
「……でも、ひなはかわいいよ。」
どくん、と心臓が大きく音を立てた。
それは、心の底まで沁み込むような声だった。本気で、真剣に、そう思ってくれてることがわかる声――。
「料理してる時の横顔とか、ご飯おいしそうに食べるとことか。ちゃんとかわいい。オレが保証する。」
「あ、かねくん、」
「どんな酷いやつがひなのこと振ってもさ、オレはひなのこと好きだよ。」
だから元気出して。
……そう言われ、顔が熱くて、喉も熱くて、うまく声が出ない。
妹みたいにかわいいとか、幼なじみとして好きだとか、きっとそういうことだ。わかってる。
高三の、こんなに格好いい年上の男の人が、地味な私を好きになるなんてありえない。そもそも何年も会っていなかったんだから、異性として私を意識しているなんてことはないだろう。
「あ、ありがと……ございます……。」
「なんで今さら敬語?」
茜くんが楽しそうに笑う。
……わかってるはずなのに、心臓はずっとうるさく跳ねるままだった。
「うん、もう平気。すぐ冷やしたからかな……。」
「そっか、ならよかった。」
ふ、と笑った茜くんが、いただきます、と手を合わせるのを見て、私も慌てて手を合わせた。
……夕ご飯のメニューは、じゃがいもとワカメのおみそ汁、ハンバーグ、付け合わせの野菜炒め。
ハンバーグと、しかもデミグラスソースまで、ほとんど茜くんが作ってくれた。ハンバーグの形はきちんと楕円形で、デミグラスソースも心なしかつやつやしてる。
「おいしい……!」
「ほんと? よかった。」
ハンバーグを一切れ口に入れると、じゅわっとしみ出る肉汁。
目を輝かせると、茜くんが嬉しそうに笑う。……いや、本当においしい。男の子なのに、というのは今の時代にそぐわない感想かもしれないが、茜くんが料理上手なのは間違いない。
「ひなの味噌汁と、付け合あわせの野菜炒めもおいしいよ。オレ、味噌汁にじゃがいも入れたことないから新鮮かも。」
「そうなの? へえ、おみそ汁にも家の個性が出るんだね……。」
まじまじと自分が作ったおみそ汁を覗き込んでいると、茜くんがふっと笑った気配がした。
顔を上げると、優しい目で私を見る茜くんと目が合う。
「……やっと笑った、ひな。」
「えっ。」
「まあ当然だけど、ずっと元気なかったからさ。……ひなは笑ってた方がかわいいよ。」
――かわいい。
また、正面切って言われたその言葉に、頬がすごい勢いで熱くなる。
恥ずかしくて、バッ! と慌てて下を向いた。
「そ、んなこと……。私、地味でトロいし、さっきだって火傷しそうになって迷惑かけたし……、」
「あは、まーたしかにちょっとトロいかもしんないけど。」
「うっ、」
「……でも、ひなはかわいいよ。」
どくん、と心臓が大きく音を立てた。
それは、心の底まで沁み込むような声だった。本気で、真剣に、そう思ってくれてることがわかる声――。
「料理してる時の横顔とか、ご飯おいしそうに食べるとことか。ちゃんとかわいい。オレが保証する。」
「あ、かねくん、」
「どんな酷いやつがひなのこと振ってもさ、オレはひなのこと好きだよ。」
だから元気出して。
……そう言われ、顔が熱くて、喉も熱くて、うまく声が出ない。
妹みたいにかわいいとか、幼なじみとして好きだとか、きっとそういうことだ。わかってる。
高三の、こんなに格好いい年上の男の人が、地味な私を好きになるなんてありえない。そもそも何年も会っていなかったんだから、異性として私を意識しているなんてことはないだろう。
「あ、ありがと……ございます……。」
「なんで今さら敬語?」
茜くんが楽しそうに笑う。
……わかってるはずなのに、心臓はずっとうるさく跳ねるままだった。