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「なんだよ君ら。超いいやつじゃんか」

 救急箱を手に、橋の下を訪れたわたしたちを見るやいなや、テメさんはじーんと感動していた。

「こんな俺の怪我、心配してくれてたなんて。おじさん感激で泣いちゃうよ」

 そう言って、えーんと泣き真似をするテメさんに、わたしもユーイチもくすくす笑った。

 顔の腫れはひき、半袖から覗く腕の傷がよくなっていることにほっとした。どうやら救急箱の出番はなかったらしい。

 朝早くにもかかわらず、テメさんは元気で、そして優しい。本当なら、六時をちょっと過ぎたこんな時間帯での訪問、鬱陶しく思われても仕方ないのに。

「どこがおじさんなんすか。テメさんはまだ、二十代くらいに見えますけど?」

 半笑いで、「なあ?」とわたしに同調を求めてくるユーイチには、「今年で二十七らしいよ」と以前得たテメさんの情報を教える。「若っ」と目を丸くさせたユーイチがひとこと吐くと、テメさんは嬉しそうにウクレレの弦を撫でていた。

「君、名前なんだっけ」
「裕一っす」
「裕一くんか。裕一くんは、この前もおだんごちゃんと一緒にここへ来てたけど、彼女と付き合ってるの?」
「え!」

 ポロンポロンとウクレレを奏でながら、歌うように聞くテメさんの前、ユーイチの顔が真っ赤に染まった。
 東の空からさす太陽の光が、それを爛々(らんらん)と照らすから、一層と赤く見えた。

「な、なに言ってんすかテメさん!わ、和子と俺が、つ、付き合ってるわけないじゃないっすか!」
「ははーん。でも裕一くんのほうは、彼女を好いてるってわけか」
「ち、ちがいます!」
「あははっ。バレバレだって」