チリンチリン!チリンチリン!
「きゃ!」
鈴を鳴らすことに夢中になっていたわたしが、びっくりして大きな声を発したのは、わたしのすぐ後ろを猛スピードで駆け抜けて行った自転車の持ち主に、怒りに満ちたベルを鳴らされたから。
「なにやってんだよこんな道端で!邪魔だろ!」
「す、すみませんっ!」
四十代くらいの、サラリーマン風の男性に怒鳴られて、そう反射的に謝ってしまったが、すぐにむむっと頬を膨らませる。
はあ?今のってわたしが悪いの!?そっちがもっと、道の真ん中を走ればいいじゃない!
仏頂面で、遠ざかる背広に強い眼差しを投げるわたし。するとその時、ガラッとユーイチの部屋の窓は開けられた。
「おいこら和子!こんな朝っぱらからそんなおっきな音で鈴鳴らしてんじゃ……!って、あれ?」
実験に失敗した博士の如くボサボサな髪の毛から予想するに、おそらくユーイチは、たった今起きた。
「おはよ、ユーイチ」
「おはよ……って、今の音お前じゃなかったの?」
「うん、ちがうよ。今のは通りすがりの爆走おじさんの自転車ベル」
ユーイチからは以前、通りを行く他者の自転車のベルの音に騙された話を聞いていたから、わたしは思わず笑ってしまった。
「あははっ。今日も見事に引っかかっちゃったんだね」
「う、うるせえ」
「で、ユーイチの部屋上がっていい?」
「おー、べつにいいけど……てか、今何時」
「五時」
「は、五時!?来んのはっや!」
と、目を見開きながらも、ちゃあんと窓を全開にしてくれて、わたしを招き入れたユーイチ。
クリーム色の踏み台を使って窓から入室するわたしの手をとって、彼は優しくサポートしてくれた。
「きゃ!」
鈴を鳴らすことに夢中になっていたわたしが、びっくりして大きな声を発したのは、わたしのすぐ後ろを猛スピードで駆け抜けて行った自転車の持ち主に、怒りに満ちたベルを鳴らされたから。
「なにやってんだよこんな道端で!邪魔だろ!」
「す、すみませんっ!」
四十代くらいの、サラリーマン風の男性に怒鳴られて、そう反射的に謝ってしまったが、すぐにむむっと頬を膨らませる。
はあ?今のってわたしが悪いの!?そっちがもっと、道の真ん中を走ればいいじゃない!
仏頂面で、遠ざかる背広に強い眼差しを投げるわたし。するとその時、ガラッとユーイチの部屋の窓は開けられた。
「おいこら和子!こんな朝っぱらからそんなおっきな音で鈴鳴らしてんじゃ……!って、あれ?」
実験に失敗した博士の如くボサボサな髪の毛から予想するに、おそらくユーイチは、たった今起きた。
「おはよ、ユーイチ」
「おはよ……って、今の音お前じゃなかったの?」
「うん、ちがうよ。今のは通りすがりの爆走おじさんの自転車ベル」
ユーイチからは以前、通りを行く他者の自転車のベルの音に騙された話を聞いていたから、わたしは思わず笑ってしまった。
「あははっ。今日も見事に引っかかっちゃったんだね」
「う、うるせえ」
「で、ユーイチの部屋上がっていい?」
「おー、べつにいいけど……てか、今何時」
「五時」
「は、五時!?来んのはっや!」
と、目を見開きながらも、ちゃあんと窓を全開にしてくれて、わたしを招き入れたユーイチ。
クリーム色の踏み台を使って窓から入室するわたしの手をとって、彼は優しくサポートしてくれた。