だらんと垂れ下がった腕の先、握られたのは震える拳。
急激に湧き出てきた怒りにも似た感情が、まるで風呂敷の如く、わたしの爪先から頭まで全てを包んでいった。
キッと三角の目を向けるわたしのことを、今度はテメさんの方が不可解に思ったかもしれない。
和子?とユーイチの声が聞こえてきた気もしたけれど、それを無視してテメさんの元へと近寄った。
「なんで笑えるの、テメさん」
奥二重の、茶色い瞳。そこに映る、鬼のような顔をした自分と目が合った。
「テメさん、ひどいことされたんだよ……?テメさんはなにも悪くないのに、こんな散々な目に遭って、どうして笑っていられるの……?」
自分でも、どうしてこんなにイライラしているのかわからなかった。目の前にあるテメさんの丸い瞳を見ていれば、彼は本当に、怒りなんて微塵も感じていないと読み取れるのに、一体なぜ、当の本人でないわたしの方が、こんなにもむしゃくしゃしているのだろうかと不思議だった。
えくぼをしまったテメさんが、時間をかけて瞬いた。
「大事なウクレレを、取り戻すことができたんだ。こんな嬉しいこと、他にないでしょ。そりゃあ笑っちゃうよ」
そう言って、次に作られたのは優しい笑み。わたしの目線の斜め上、緩いカーブを描く口元。
一瞬、胸がざわめいた。
急激に湧き出てきた怒りにも似た感情が、まるで風呂敷の如く、わたしの爪先から頭まで全てを包んでいった。
キッと三角の目を向けるわたしのことを、今度はテメさんの方が不可解に思ったかもしれない。
和子?とユーイチの声が聞こえてきた気もしたけれど、それを無視してテメさんの元へと近寄った。
「なんで笑えるの、テメさん」
奥二重の、茶色い瞳。そこに映る、鬼のような顔をした自分と目が合った。
「テメさん、ひどいことされたんだよ……?テメさんはなにも悪くないのに、こんな散々な目に遭って、どうして笑っていられるの……?」
自分でも、どうしてこんなにイライラしているのかわからなかった。目の前にあるテメさんの丸い瞳を見ていれば、彼は本当に、怒りなんて微塵も感じていないと読み取れるのに、一体なぜ、当の本人でないわたしの方が、こんなにもむしゃくしゃしているのだろうかと不思議だった。
えくぼをしまったテメさんが、時間をかけて瞬いた。
「大事なウクレレを、取り戻すことができたんだ。こんな嬉しいこと、他にないでしょ。そりゃあ笑っちゃうよ」
そう言って、次に作られたのは優しい笑み。わたしの目線の斜め上、緩いカーブを描く口元。
一瞬、胸がざわめいた。