テメさんみたいにポジティブになって、
 ちーちゃんみたいにいつでも明るく笑って、
 ユーイチのように、友だちと放課後のランチだって気ままにするのがわたしの夢。

 昔はできてたあたり前だったことが、気付けばこんなにも難しくなってしまった。

 学校だって楽しかったのに、いきなりつまらなくなった。

 わたしを腫れもののように扱うみんな。それに居た堪れなくなったわたしは逃げたんだ。

 不登校になってからは、二ヶ月くらい。
 お医者さんから告げられたことを、そのまま担任の先生やクラスメイトたちに伝えたら、がっつりと大股一歩引かれた日々は辛かった。

 みんなの中に芽生えた同情の心で、無意識に引かれてしまったボーダーラインが、わたしの前にはだかった。

 初めは些細な線だったものが、いつの間にやら天まで聳える鉄壁になっていた。

 スプーンのつぼ先に置かれた生卵を運ぶように、そおっとそおっと丁寧に、慎重にわたしと接する友だちの顔には、縁日の露店で売っているお面のような、奇妙な笑顔が貼り付けてあった。

 口元は笑っているのに、目元は一切笑っていなくて。その瞳だけを切り取って見てみれば、喜怒哀楽の『哀』に満ちていて。

 終始、憐れまれている気分になった。

 そんな笑顔に囲まれて送る学校生活は、息苦しいだけだった。
 そしてそれは、お父さんお母さんと一緒に暮らす自宅も然り。

 わたしが居心地が良いと感じるのは、幼なじみのユーイチといる時と、ちーちゃんと電話をしている時だけなのかもしれない。