お母さんの、わたしを見る目は変わらなかった。だからこんな歪んだ思想の持ち主であるわたしは、おそらく異端者になったのだろう。
「ち、ちがうわよ和子……お母さんはただ、ただ和子と一緒に美味しいものを……」
本当にそう思っているのならば、言い淀まずにはっきりと言ってほしいと思った。
「美味しいものを、なに?」
「だ、だからお母さんは、和子とい、一緒に……」
歯切れが悪いお母さんに、イライラする。
だけどわたしが一番苛立っている相手は、本当は自分自身なんだ。
「もういいよ、お母さん。わたしそれ、食べないから」
こんなこと、言いたくないのに。
「お母さんはどうせ、わたしの命がいつ終わっても、その時の自分が後悔しないようにしたいだけじゃんっ」
本当は、こんなこと思っていないのに。
ただ、最近食欲のないわたしを喜ばせようとして、お刺身を買ってきてくれたお母さんだって知っているのに。
ただ、笑って一緒に食事をしたかっただけだって、わかっているのに。
どうしてわたしはこうなんだ。
こんなわたしの態度に、相当なショックを受けたであろうお母さんは、ふるふると小刻みに横へ首を振りながら、「ちがう」の三文字をリピートしていた。
わたしになんて声をかけるのが正解なのか、探っているような感じだった。
その答えを教えてあげたいけれど、わたしだってそんなのはわからない。
きっとなにを言われようが、今のわたしは理不尽にむしゃくしゃしてしまうんだ。
「ち、ちがうわよ和子……お母さんはただ、ただ和子と一緒に美味しいものを……」
本当にそう思っているのならば、言い淀まずにはっきりと言ってほしいと思った。
「美味しいものを、なに?」
「だ、だからお母さんは、和子とい、一緒に……」
歯切れが悪いお母さんに、イライラする。
だけどわたしが一番苛立っている相手は、本当は自分自身なんだ。
「もういいよ、お母さん。わたしそれ、食べないから」
こんなこと、言いたくないのに。
「お母さんはどうせ、わたしの命がいつ終わっても、その時の自分が後悔しないようにしたいだけじゃんっ」
本当は、こんなこと思っていないのに。
ただ、最近食欲のないわたしを喜ばせようとして、お刺身を買ってきてくれたお母さんだって知っているのに。
ただ、笑って一緒に食事をしたかっただけだって、わかっているのに。
どうしてわたしはこうなんだ。
こんなわたしの態度に、相当なショックを受けたであろうお母さんは、ふるふると小刻みに横へ首を振りながら、「ちがう」の三文字をリピートしていた。
わたしになんて声をかけるのが正解なのか、探っているような感じだった。
その答えを教えてあげたいけれど、わたしだってそんなのはわからない。
きっとなにを言われようが、今のわたしは理不尽にむしゃくしゃしてしまうんだ。