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「お。学校サボりの入道雲さんじゃん。どこ行くの」
コンビニからの帰り道。通学路から一本外れたところにあるファミリーレストランの前で、制服姿のユーイチと出くわした。
変なニックネームでわたしを呼んできたユーイチの隣で、わたしのことを見下ろす数名の男子たちの顔は知らないから、おそらくユーイチのクラスメイトか、部活仲間かのどちらかだろう。
うちの学校、もう終業式終わったんだ。ああ、高校と同じ最寄り駅に家があるなんて最低最悪っ。どうか顔見知りの友だちには会いませんよーにっ。
と願っていたら、ニヤニヤした友だちにとんっと背中を押されたユーイチが、わたしの方へつんのめる。
「ほら、くっついちゃえよ」
「お、おいこら。押すなしっ」
「なに言ってんだよ。協力してやってんのに」
ニヤニヤニヤニヤ
よくわからないけれど、わたしのすぐそこにユーイチが来たので、彼の相手を少しする。
「わたし、入道雲っていう名前じゃないんですけど」
「ならそんな頭すんなよ。紛らわしい」
「うるさいなあー。人の勝手じゃんっ」
「で、どこ行くん」
「行くんじゃなくて、家に帰るところっ」
「ほう。どこ行ってたん」
「ちょっとコンビニ」
「ふうん。それにしちゃ、手ぶらだけど」
「だ、だってほしいもの、なかったからっ」
「ふーん……」
自分から聞いてきたくせに、興味のなさそうな返事で終わるユーイチ。
彼といた男子のひとりが「腹減ったあ」と言い、ファミリーレストラン入り口の扉に手をかけるところを見て、彼等は今からランチタイムなんだろうなと思った。
じゃ、とユーイチに手のひらを見せて、わたしは彼等の横を通り過ぎる。
一歩二歩、三歩ほど進んだところで、背後からユーイチの声がした。
「夕方には俺、家に帰ってるから」
「お。学校サボりの入道雲さんじゃん。どこ行くの」
コンビニからの帰り道。通学路から一本外れたところにあるファミリーレストランの前で、制服姿のユーイチと出くわした。
変なニックネームでわたしを呼んできたユーイチの隣で、わたしのことを見下ろす数名の男子たちの顔は知らないから、おそらくユーイチのクラスメイトか、部活仲間かのどちらかだろう。
うちの学校、もう終業式終わったんだ。ああ、高校と同じ最寄り駅に家があるなんて最低最悪っ。どうか顔見知りの友だちには会いませんよーにっ。
と願っていたら、ニヤニヤした友だちにとんっと背中を押されたユーイチが、わたしの方へつんのめる。
「ほら、くっついちゃえよ」
「お、おいこら。押すなしっ」
「なに言ってんだよ。協力してやってんのに」
ニヤニヤニヤニヤ
よくわからないけれど、わたしのすぐそこにユーイチが来たので、彼の相手を少しする。
「わたし、入道雲っていう名前じゃないんですけど」
「ならそんな頭すんなよ。紛らわしい」
「うるさいなあー。人の勝手じゃんっ」
「で、どこ行くん」
「行くんじゃなくて、家に帰るところっ」
「ほう。どこ行ってたん」
「ちょっとコンビニ」
「ふうん。それにしちゃ、手ぶらだけど」
「だ、だってほしいもの、なかったからっ」
「ふーん……」
自分から聞いてきたくせに、興味のなさそうな返事で終わるユーイチ。
彼といた男子のひとりが「腹減ったあ」と言い、ファミリーレストラン入り口の扉に手をかけるところを見て、彼等は今からランチタイムなんだろうなと思った。
じゃ、とユーイチに手のひらを見せて、わたしは彼等の横を通り過ぎる。
一歩二歩、三歩ほど進んだところで、背後からユーイチの声がした。
「夕方には俺、家に帰ってるから」