先ほどのユーイチと同じようにきっぱりはっきりと、まるで確定していることのように言ってのけた。

「和子って人は可哀想。これはもう、街角でアンケートでもとったら、百人中百人がそう答えるよ」

　だけどこれは、この口論に勝つためだけに口にした意見ではなく、お医者さんから酷な宣告を受けた二ヶ月前から心の中にある、わたしの本音だ。

　震えたくはないのに震え出した声。ああ、嫌になる。

「わたしの心臓がもうやばいんだって、ユーイチにも言ったでしょう……？半年もつか、一ヶ月もつかもわからないし、もしかしたら明日にでも止まっちゃうかもしれない心臓で、毎日びくびくしながら生きてるんだよ……？こんなわたしの思いなんて胸中なんて他人に話さなくても、わたしは可哀想に決まってるじゃんっ。だって生きていくのに必要不可欠な心臓がもう、壊れかけちゃってるんだからっ……！」

　訴えながら、涙がこぼれたことに気付く。

　生温い雫がどんどんこぼれて、頬を伝って顎から落ちる。わたしはこんな運命のもとに生まれたわたしのことを、心底可哀想だと思っている。

　う、う、と詰まる息が、壊れかけの心臓に負担をかけていく。
　浅い呼吸を繰り返し、必死に酸素を欲していると、「和子っ」とベッドを飛び降り駆け寄ってきたユーイチの手が、わたしの背中をさすってきた。

「落ち着け和子っ。ゆっくり息吸って吐けっ」

　なんなのよもう。ユーイチのせいじゃない、このばかっ。

　と罵ってやりたかったけれど、今の状態ではできやしない。

　わたしは彼に言われるがままに、ゆっくり息を吸って吐いた。