.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*

 東京の夜空に星があまり見えないのは、煌めく星のほとんどが地上に落ちてきてしまったからだと、昔おばあちゃんが教えてくれた。

 そのきらきらと光る星屑を使って建造物を作ったから、東京の街は夜でも明るいのよ、と。

 幼い頃、まだおばあちゃんが元気で生きていた頃。
 彼女と一緒に訪れた夜の展望台で、東京の街を見下ろしながらその話を聞いた時のわたしは、疑いもせずに信じたっけ。

 きらきらと眩く輝くビーズの絨毯みたいな街の上。

 あの背の高い高層マンションも。
 くるくるまわる観覧車も。
 ろうそくの炎のように赤く、真っ直ぐ聳え立つ東京タワーも。

 全てが星でできているのだと思ったら、なんだかわくわくした。

 その後何年か経って、わたしは友だち数人にその話をした。そしたら見事に笑われて、「そんなことあるわけないじゃん!」とばかにされてしまったけれど、ちーちゃんだけは、わたしの話を信じてくれた。

「そうなんだ!東京の街って、星でできてるんだ!行ってみたいなあ、東京!もしわたしが東京に旅行に行くことがあったら、その時は和子ちゃんが案内してね!」

 そう言って差し出された、細くて白くて綺麗な小指。

 満面の笑顔のちーちゃんと指きりをして、「もちろんだよ!」と約束を交わしたけれど、その約束は未だに果たされてはいない。

 だってちーちゃんが、なかなか東京に来ないから。

 星なき夜空を見上げ、そこにちーちゃんを描く。彼女の誕生日は、もうすぐだ。