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「今日の入道雲、なんかかたちがちがくねえ?」

 チリンとお守りを鳴らした、翌朝のユーイチの部屋の前。
 窓を開けたユーイチは窓枠に手をかけたまま、わたしのおだんごヘアをまじまじと見てきた。

「うまくまとまらなくて、真ん中で割れちゃったの」
「ふうん。だからそんなかたちになってんのか」
「そんなかたちって、どんなかたち?」
「いやだからその、ハー…」

 ト。

 と言い切った瞬間に、ぽんっと赤くなったユーイチの顔。慌てて目を逸らすさまに、わたしはちょっぴり自惚れてしまった。

「ねえ、ユーイチ」
「な、なんだよ」
「もしかしてユーイチってさ、わたしのこと──」

 わたしのこと、好きなの?

 踏み台に足をかけつつ、そう聞こうと思ったけれど、その時カサッとわたしの足元に落ちたなにかに、言葉は止まった。

「あ」

 代わりに丸く開いた口から抜けていった、そんな一文字。
 わたしのパンツケットから落ちたものは、テメさんと初めて会った日にもらったココアサイダー味の飴玉だった。

 この飴、まずそうだと思ってすっかり食べるの忘れてたけど、ポケットに入れたままにしちゃってたんだ。

 あれから数回は、このパンツと共に洗濯機でまわされたであろうけれど、パッケージの見かけは然程変わっていない。

 穴の空いた形跡もなければ、中身が溶けている様子もなかったから、わたしは拾うと同時に開封し、口へと放り込む。

「わ!なにお前!今なに食べたの!」
「飴」
「飴ぇ?」
「前にテメさんからもらった、ココアサイダー味の飴玉」