ランチタイムの忙しない時間帯を少し過ぎて、長閑な雰囲気のレストラン内。その一画でまさかこんなにも重い話がされているだなんて、誰も思わないだろう。

 ふたりの顔を交互に見る。
 果穂も七海も、わたしから視線を逸らすことはしないで、真っ直ぐとこちらを向いている。

 自分自身、なぜこんな問いを投げかけたのかわからなかった。その答えを聞き、わたしは一体どうしたいのだろうと思った。

 だけど──

「絶対治ってほしいって、そう思ったよ」
「わたしも同じく。アメリカでの手術が成功して、和子と今までできなかった遊びも全部したいと思った」

 だけどその瞬間、その思いは泡沫(うたかた)のように払拭された。

 ああ、わたしはこう言ってほしかったんだって、心の底から強く思った。

「ありがとう、果穂。七海……」

 突然謝礼し涙するわたしは、相も変わらず情緒不安定。でも、お礼を言わずにはいられなかった。ふたりはわたしの明るい未来を祈ってくれていたのに、それにわたしが気付けなかったんだもの。

 一線を引いていたのは、自虐的な考え方しかできなくなったわたしの方だった。

 お医者さんから酷な現実を言われたあの日から、わたしは物事を悲観する癖がついていた。

 そう。ただ子どもみたいに、拗ねてたんだ。