裏で、暗殺計画がくわだてられているとも知らないで。


そして、新しい年を迎えた数日後。

今日は、玻玖が黒百合家へ挨拶にくる予定となっている。


乙葉との正式な婚約を申し込みに。


玻玖と会うのは呪披の儀以来、約9ヶ月ぶりだった。


乙葉は朝から使用人たちに囲まれ、おめかし。

まだ挨拶にくるという段階だが、すでに結婚式のお色直しかと思うような気合の入れようだ。


もちろん着物は、この日のために用意したもの。


「きれいよ、乙葉!さすが私の娘!」


鏡を見てうっとりと眺めていたのは乙葉自身だけでなく、八重も娘のかわいさに見とれていた。


「こんなにかわいらしい乙葉を見たら、きっとあの狐男(きつねおとこ)も目を奪われること間違いなしね。呪披の儀よりさらに色っぽくなって、男ならだれでも釘付けよ」