当主の玻玖を殺し、東雲家を乗っ取ろうというのだ。


縁談を申し出ているのは、玻玖自身。

まさかその縁談相手が、はなから自分の命を狙って嫁にくるなど夢にも思っていないはず。


仲睦まじい関係を上辺だけ(つくろ)っておき、夫として油断しているところを殺そうという計画。


「乙葉は、容姿、呪術ともに自慢の娘だ。乙葉にうつつを抜かしているあやつになら、負の呪術をかけるのもたやすいだろう」


それに、東雲家は玻玖以外に跡継ぎはいない様子。

玻玖さえ葬ってしまえば、東雲家は乙葉のものとなり、また現神導位が亡くなったことで、神導位の座は再び黒百合家に戻ってくるというたくらみだ。


黒百合家にとって、東雲家は邪魔な存在。

だからといって、そう簡単に排除できるわけもない。


そこで、偽りの花嫁として乙葉を送り込み、内側から東雲家を直接潰そうというのだ。