呪術家系に生まれた者はみな、呪術の才能を受け継いでいる。

呪術の開花時期は人によって様々だが、遅くとも5歳になるまでには、なにかしらの呪術が扱えるとされている。


現に乙葉は、初めて呪術を取得したのは2歳になる手前であった。


しかし和葉は、5歳になろうとも6歳になろうとも、単純な呪術でさえも扱えるような開花の兆しは見られなかった。


呪術家系で呪術が使えない者は、黒百合家以外でも今までに聞いたことがない。


乙葉はというと、まるで双子の姉にかわるかのように、次々と多種多少な呪術を開花させる。


そうして、黒百合家の将来を期待された乙葉はこれまで以上に愛され、その反対に両親は無能な和葉には目もくれなくなっていった。


すべての愛情が乙葉に向けられ、和葉は幼いながらに1人で孤独な日々を過ごすこととなる。