その言葉に、再び八重と乙葉は眉間にしわを寄せる。


「だが、乙葉を東雲家に渡すわけでも、あやつを婿にするわけでもない」


それを聞いて、首を傾げる乙葉。

八重もよく意味がわからず、難しい顔をしている。


「このまま、乙葉の縁談を進める。そして、嫁入りしたその日に、乙葉にはあることをしてもらう」

「あること?」


キョトンとする乙葉に対して、貴一は不気味に笑う。

さらに、クククという小さな笑い声ももれている。


「それは、乙葉の負の呪術で…あやつを殺すことだ」


恐ろしい貴一の計画を聞いて、思わず声がもれそうになった和葉。

慌てて、手で口を塞ぐ。


なにを考えているのかと思えば、貴一は東雲玻玖の暗殺をたくらんでいた。


乙葉が玻玖と婚約を交わし、結婚して東雲家の人間となったその日に――。