それを聞いて、静まり返る部屋。

八重と乙葉も口をぽかんと開けている。


そして、すぐに目を見開ける。


「…お父様、どういうこと!?わたしくし、あの方はイヤって言ったわよね!?」

「そうですよ、貴一さん!なぜ、よりにもよってあの男のところへ!?しかも、どういうおつもりですの!?大事な乙葉を嫁へ!?それとも、あの男を婿へ!?私はどちらも反対です!」


女性2人の剣幕はものすごく、負の呪術を発動するかと思われるようなオーラが放たれている。


「ありえない!絶対にありえないわ!!」

「貴一さん、冗談ですよね!?もし本気でいらっしゃるなら、考え直してください!」


感情のままに詰め寄ってくる2人に、貴一はやれやれとため息をつく。


「…2人とも、いったん落ち着きなさい」

「落ち着けるわけないでしょ!!わたくしの人生がかかっているのよ!?」