貴一と八重は、手配しておいたバースデーケーキで乙葉の誕生日を盛大に祝った。

その日、乙葉は誕生日プレゼントとして、ほしいものをいつも以上に買ってもらいご満悦。


一方、和葉にはバースデーケーキは用意されておらず、ただその日を境に17歳になったというだけのいつもと変わらない1日を過ごした。


このような誕生日にも、もうすっかり慣れてしまっていた。

和葉にとっては、誕生日だからといってもなにもない。


プレゼントは、乙葉が自ら選んで買ってもらったものの、結局なにか違うと言って一度も着なかった着物の中から、八重が適当に選んだものを与えられた。

プレゼントというよりは、『お下がり』と言っていい。


黒地に大ぶりの椿(つばき)の花の絵があしらわれた派手な着物。


もちろん、和葉には似合わない。