玻玖は、庭園の空を仲睦(なかむつ)まじく舞う2羽の小鳥を眺めながら小さくつぶやいた。


「それに、本来であれば俺はあのとき帰るつもりでした。ですが、黒百合さんがああおっしゃってきたので」


玻玖に言われ、貴一は思い出してはっとする。


『玻玖はどうじゃ?『予知眼ノ術』は扱えんのかの?』

『帝さん、そんな簡単に言わないでくださいよ。『予知眼ノ術』なんて、だれにでも習得できるものではないですよ』

『いやいや、ご謙遜されて。これほどまでの呪術師であらせられる東雲殿なら、『予知眼ノ術』もお持ちではないのですかな』


自分があんなことさえ言わなければ今頃は――。

と、貴一は後悔の念に駆られるのだった。