玻玖に一本取られ、赤面して悔しがる貴一。


「ホッホッホ〜、勝負あったの〜。貴一を打ち負かすとは、さすが『最高の呪術師』。たいしたものじゃ。これでわかったであろう、貴一」

「…しかし!」


尚も異議を唱えようとする貴一に、さすがの帝の垂れた目も釣り上がる。


「いい加減にせんか。前神導位でありながら、なんと見苦しい。それとも、玻玖に対する負の呪術発動を咎めてほしいのかの〜?」


帝に釘を刺され、ぐうの音も出ない貴一。

歯を食いしばり、何度も拳で畳を殴り続けていた。


すると玻玖は、そんな貴一の前へゆっくりと歩み寄ると、かがんで貴一に顔を向ける。

そして、片手で抱えていた月光晶を差し出す。


「それなら、お返ししましょうか?神導位の“地位”と、この“証”…とやらを」

「…なんだと!?」