「帝様、そこでしかとご覧くだされ。今から、こやつの化けの皮を剥がします。そうすれば、きっと帝様もお考えをお改めに――」


玻玖が、面越しに貴一を見つめる。


「やれるものならやってみてください」


そして、静かにひと言だけそう発する。

すると、なぜかさっきまでの貴一の圧が一瞬にして消え去った。


一番驚いていたのは、貴一だ。


なぜなら、再度呪術を発動しようにも、まるで体に力が入らず呪術が使えないからである。


「…貴様!わしになにをした!?」

「肌がビリビリと痛かったもので、『無効化ノ術(むこうかのじゅつ)』をかけさせてもらいました」

「なに!?このわしに呪術をかけただと…!?」

「はい。怒っていらっしゃって冷静ではなかったので、術をかけるのもそう難しくはなかったです」