ゆったりとした振る舞いで微笑む帝。


「……え…?…と、言いますと…」

「昨日、ここへ参った客人は全部で17名。玻玖は、その者らすべての風貌に加え、参る時間もすべて正確に言い当ておった」

「17名…すべて!?」

「そうじゃ。もはやこれは、『圧倒的な差』という他以外になにもなかろう」


決定的な帝の言葉に、愕然として膝から崩れ落ちる貴一。

そして、怒りの矛先は玻玖へと向けられる。


「…おのれ、貴様!どのようなイカサマをした!?」

「イカサマもなにも、他人(ひと)より少しだけ先の世が視えるだけです」

「なにを…!今の世で、乙葉以外に視える呪術師など聞いたことがない!」

「どうやらそのようにお思いで。ですが俺は、『予知眼ノ術が使えない』などとはひと言も言った覚えはありません」