キョトンとした表情で、帝は貴一に目を向ける。


「なぜ、最高の呪術師の地位である神導位が、このようなどこの馬の骨ともわからないような男にお授けになるのでしょうか…!」

「なにを言う。そなたが一番わかっておるではないか。神導位は、『最高の呪術師の地位』であると。今回その『最高の呪術師』というのが、東雲玻玖であったというだけじゃ」


貴一にはまったく理解できなかった。

相手が帝ということも忘れて主張する。


「そんなはずありません…!なぜなら我が娘、乙葉の『予知眼ノ術』は、たしかに先の出来事を言い当てたはず!」

「そうじゃの〜。まだ16という歳でありながら、黒百合乙葉の『予知眼ノ術』は見事であった。よくあれほど的確に、客人の風貌が視えたものじゃ」

「でしたら――」

「視えたのは、初めの8名だけのようじゃがの」