皇居から宿泊している宿へ戻るとき、貴一たちは赤と白の矢羽根模様の着物を着た女性とすれ違う。

向かう方向からすると、おそらく皇居だ。


その女性は、乙葉が1番目に書き記した客人の風貌と合致していた。


「そうそう、あの方。わたくしには視えていたわ」


得意げな顔をして鼻唄を歌う乙葉だった。


そして、次の日。

いよいよ神導位が決まる呪披の儀、異例の4日目。


帝の前に座る、黒百合家の3人と東雲玻玖。


「よく集まってくれたの〜。昨日の『予知眼ノ術』の結果、両家には圧倒的な差があった。前置きは不要であろうから、さっそく神導位なる者を申し伝えるぞ」


帝の言葉に、貴一はニヤリと口角を上げた。


――圧倒的な差。


当たり前だ。

6時間先まで視える乙葉と、『予知眼ノ術』を持たないあの男とでは勝負になるはずもない。