やれるところまでやった乙葉は、筆を置くとぐーんと伸びをした。


「乙葉は十分やってくれた。帝もそれを評価されるだろう」


貴一は乙葉が書いた紙を手に取ると、まじまじと眺める。


「そもそも、あの男には乙葉に視える後の世さえも視えてはいない。きっと勝負は、初めの数人で決まるだろう」

「じゃあわたくし、少しお休みしてもいいかしら?なんだか疲れちゃった!」

「ああ。ゆっくりしていなさい」


そのあと、指定された時間どおりに側近がやってきて、乙葉の書いた紙を持って帰った。


「あの男、どんなデタラメを書いているか楽しみだな」

「貴一さん、悪いお顔をされているわ」


顔を見合わせて笑う貴一と八重。


本日の呪披の儀はこれにて終了で、明日もう一度皇居へ赴き、2人の『予知眼ノ術』の結果が言い渡される。